その優しさだけで救えると思っていたのだ。思い返せば傲慢にもほどがある。けれど、優しさで誰かを救えると微塵も疑わず、誰彼構わず手を差し伸べる彼のことを、信じていたのも事実だった。若さゆえに、その優しさだけで、きっと救われる人がいるはずだ、と。盲目に、愚直に、信じていたのだ。
嗚呼、私はなんて愚かしかったのだろう。
現実が少しでも見えていれば、彼のことを殴る勇気がほんの少しでも持つことができれば、彼が人間の醜さの中で息を引き取ることなどなかったというのに。彼の優しさに依存し、縋り、そして踏み躙ったのは、他ならぬ自分自身であった。その罪悪が、これからも私を苛むだろう。それで良いと思っている。だから、目の前の前で穏やかな笑みを浮かべる、君は消えてくれ。
5/2/2026, 3:25:20 PM