珈琲が好きなのでカフェで何時間も過ごしてしまう。
私は気を使う性質なので、珈琲1杯で何時間も粘ったりはしない。
一定の時間でお代りをしたり、食べ物を頼むから良い常連のはずだ。
クレームも言った記憶は無い、
多少迷惑な他の客がいても、事を荒立てず我慢してやり過ごす。
その店は広く、流行っているのでいろいろな客が来た。
サークル活動らしきかしましいグループ、
初老の女性同士が込み入った人間関係の話をしていたり、
そんなのはありふれた風景で、多少うるさくとも勉強や読書をしてればノイズとして聞き流して過ごせる。
だが、そんな私が驚くぐらい、物凄いスピードで喋る人を見た。
年齢は50代後半の男で、聞き役は対面に座っている60代後半の男性だった。
とにかく早口で、全盛期の古舘伊知郎、ツービートよりも早くて、うるさい。
それでも私は、何気ないふりを続けるしかなかった。声もでかかったので丸聞こえだ。
話題は宇宙開発について、UFO、宗教、国防、政治、芸能界と次々と目まぐるしく変わった。喋っているのは50代の方だけで、相手はただふむふむと頷いているだけであった。
早口で、落着き無く、油っ紙に火がついたように喋りに喋って、40分くらいで2人とも帰ってしまった。
全部耳に入ったけれども、印象に残る話は1つも無かった。
あれは何者か検討もつかないけれども、
もしかすると、あれが躁病の人ではないだろうかと、勝手に思って、府に落ちる事にした。
モチロン、私は医師ではないので本当の事は分からない。
私自身は、躁でも鬱でもないと思う。1度医師の友達が、テストをやってみないかと言うのでやってみたが、その結果は軽い鬱だと言うことだった。
でも私は鬱の傾向があったとしてもぜんぜん気にしていない、
人間誰しも気分が上がったり、落ち込む事はあって当然だ、
そもそも世の中には沢山のシリアスな問題がゴロゴロ転がってるのだから、マトモな人なら鬱気味になるのが正常な証拠だろうと思っているくらいた。
しかし、そんな私も「躁」状態になってしまう事はある。
そんな時の方が却って危ないのである。
雀聖 阿佐田哲也風に表現するなら、好調過ぎて自分のフォームを崩し、大失敗してしまうのである。
例えば10億円の宝くじに当たった人が、経済感覚が狂って、気が付いたら借金生活送っていたなんて例があるように、
躁状態はふわふわして危険なのである。
事実、私は商売をして大失敗した経験を持つが、
商売を始めた頃は、思い返すと躁状態が続いていたような記憶がある。
こんな事書いてるのは、今、私が好調過ぎて自分のフォームを崩しそうになっているからなのである。
何気ない、
何気ないふりをして、
じっとやり過ごさなくては……
3/31/2024, 2:02:43 AM