Noir *fiction*

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あれはいつの日の記憶でしょうか、
とても昔のことだったと思います。
あの方々を待って、待って……。
もう1000年を超えてから数えるのをやめてしまいました。
考えてみればあの日から周りの景色も変わっているかもしれません。しかし、そんなことは大切ではありません。
私には何よりも大切な役割があるのですから。

私はこのアスベル王国を守っている機械人形です。
アスベル王国は機械の国として発達してきたため、
私をつくることができたのです。
私は壊れないよう強い魔法がかけられています。
だから、今まで存在できたのでしょう…。

私の役割はこのアスベル城をあの方々…
兵士さん達が帰ってくるまで守ることです。
だから私はあの日から城の入口で動かず帰りを待っています。
……。
でも、いつまで経っても兵士さん達は帰ってきませんでした、。何故なのでしょう。
国王様もいつの間にかいなくなってしまいました…。
ここから動いていないのでどこに行ってしまわれたのか分かりません。

皆さまどこに行ってしまわれたのでしょう。
まるで私だけになってしまったようです。
私は皆さまの帰りをずっと待っているのに…。


題「憐れなる機械人形」

テーマ『遠い日の記憶』『私だけ』より



7/18/2024, 1:20:03 PM