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チクタクという時計の音がこの部屋が静かだと物語る。1人の老人が縁側に座り空を見ていた。ぽかぽかと当たる太陽の温もりがとても心地よさそうに見えた。

「ねぇ、あなた。歩夢が今朝、ひかるさんと海斗を連れて帰って行きましたよ」と振り返りベットに横たわる老人に声をかけた。「海斗も今年10歳になったんですって。子供の成長は早いわね」なんて微笑んだ。

「歩夢なんて昨日ね。眼鏡がないないって言って大騒ぎしたのよ。頭にかけてあるのに全然気付かなくって。まるで、あなたを見てるようだったわ」そうベットの方へ歩き老人の手を握る。機械に繋がれた体は呼吸を繰り返すだけで握った手なんて握り返してはくれない。

「また、あなたと二人ぼっちになりましたね」悲しいような寂しいような顔をした女性の頬には涙が流れた。その雫が男性の手にかかった。その瞬間、少しだけ男性の手に力が入り握り返してくれたような気がした。それはまるで、『大丈夫』と元気付けてくれてるようだった。

3/21/2024, 2:50:29 PM