朝、突然、赤い糸が見るようになった。どういう風の吹き回しだ。
私はいつも通り顔を洗ってご飯を食べ、歯を磨き、制服に着替えて学校に行く。その道中にも赤い糸が沢山見えた。鬱陶しいほど見えるそれに私は目を背けつつ教室に着く。そこら中に糸があって、ピンと張っているものもあれば、だらんと床についてるものもある。それに触れても特に害はなく、私はそれをできる限り避けつつも
とある場所へ向かう。
好きな人がいる場所へ。
紫の髪を少し浮かせた七三分けにし、ほかの髪はいい具合に遊ばせている。寝不足の証であろう隈は妖艶な顔立ちをさらに際立たせている。制服の上からでもわかる腰のくびれは彼の隠している秘密の美しさを引き立てる
そんな彼のところに行った。いつもの様に行ってるからそこにいる他の人たちからはもう驚かれもしない。
そしてそこに行って私は赤い糸が見えるようになってから初めて自らの手を見る。
そこ糸は結ばれていなかった。だが私には無数の糸が巻きついていて、ふと彼の指を見るとそこからは数多の糸が出ていた。
赤い糸は運命の他にも束縛という意味もあるか。と心底驚きながら私はそこから去る
何も言わず去っていった私を見て彼はキョトンとしていたがそんな私を見て笑っていた、とほかの人たちは言っていた。
赤い糸
7/1/2023, 8:17:33 AM