紅葉が見ごろになると、このあたりは観光客で一杯になる。夜にはライトアップなんかもしてそれは綺麗らしい。一度見てみたいが、年を取って足を悪くしているから、夜に出歩くのは無理だろう。
「そんなこと言わずに行きましょうよ!おれが車イス押しますよ?」
そう強引に私を誘うのは隣のアパートに住む大学生の男の子であった。年頃だろうにこんなジジに構うなど、よっぽどの暇人かと前に問うてみたことがある。そのときの彼の顔があまりに、なんというか哀愁を誘う表情だったから、大変失礼ながら『モテないんだな』と合点した。
11/5/2024, 7:19:06 AM