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「さっむ! いっだぁ!!」

 情けない声を発しながら目が覚める。二の腕を手のひらでさすっただけなのに、私の左ふくらはぎはピンと張り詰めた。急な痛みに襲われて、私は左足を抱えてのたうち回る。足首を動かして、そっと伸ばしたり縮めたりを繰り返した。また足を攣らないように、慎重にだ。
 次第に痛みが和らいだら、足元でくしゃくしゃに丸まったタオルケットを首まで被る。私はどうやら寝ている間は暴れているらしく、寝るまでかけたものが朝には全て剥がれているのだ。そのため、夏は冷房で、冬は暖房を切ったがために体が冷えきっている。ほぼ毎朝、身震いで起きるのだ。
 冷えきった体にかけたタオルケットは温かい。たった一枚、布切れを被るだけでこれほど温かいのかと驚いてしまう。
 心地良い温もりに包まれて、ウトウトしていると急に時間が気になった。枕元に置いてあるスマホをつければ、時刻は四時すぎを表示させていた。
 アラームが鳴るまで一時間。まだまだゆっくり寝られる。
 私は安心して目を閉じ、意識を飛ばした。


 一時間後、アラームの音に驚いてまた足を攣り、のたうち回りながらタオルケットの行方を探る羽目になるのだが、もはや夏の風物詩と思いたい。


『目が覚めると』

7/11/2024, 4:08:31 AM