ほんのり香るゆずの匂いに顔を顰める。
柑橘系の匂いはどうも苦手だ。甘さを感じられずただ酸っぱいだけの果実。
冬至を経て、どこもかしこもゆずゆずゆず…ほら、季節のアイスクリームもゆずだ。全く…飽きないよなぁ。
ゆずなんてただの添え物で結構だ。
子供にはまだ早く、メインディッシュを食べたいが故にそっと残される、そんな添え物で結構。
そして、作る側も残されても何も感じない添え物、それで結構。
まるで、僕みたいに。
この頃会社は上手くいかないし、彼女にも逃げられるし、ダメ人間の抽象化。
やっぱ、似たもの同士は嫌いだよ。なあ、ゆず。
お前は残り物で結構だ。誰からも見られることもなく、ただ添えられてる…色味を良くするためだけの食べ物になれない失敗作。
だけど、そっと…
口に含めば広がる酸味。
自然と雫が垂れ落ちる。
なんだか、とても、
「懐かしい味だな。」
12/23/2024, 8:06:45 AM