風を感じて
君は、台風みたいな人だ。
予告もなくやってきて、僕をあっという間に巻き込む。
今日も突然、「海に行きたい」なんて言い出して――
潮風に髪をなびかせながら、笑っている。
振り回されるのは、嫌じゃない。
むしろ、この風の中で君といる時間が、何より好きだ。
砂浜で、僕は君の前に膝をつく。
潮の匂いと、君の香りが混ざり合う。
「僕と結婚して」
一瞬、海風が止まったように感じた。
君は驚いたあと、照れたように笑って――
「喜んで」
その声を包むように、また風が吹き抜けた。
8/10/2025, 8:36:32 AM