『大好きな君に』
「おめでとう」
その言葉は、大好きな君に上手く届いただろうか。
声は震えていなかっただろうか。顔は暗くなかっただろうか。涙は、ちゃんと堪えきれていたかな。
拍手。笑い声。誓いの言葉。耳から入ってくる何もかもがどこか遠く聞こえる。
私は、もうずっと、この世で一番美しい花嫁から目が離せないでいた。
真っ白なベールに包まれた幸せそうな笑顔が何より綺麗で眩しくて、痛くて痛くてたまらなかった。
「好きだったなあ」
ぽつりと呟いたその言葉が、いっそ大好きな君に届いてしまえばいいのに。
滲んだ視界の先で二つの唇がゆっくりと重なるのを、私はただぼんやりと眺めていた。
3/4/2026, 3:04:23 PM