『既読がつかないメッセージ』
風が冷たい夜だった。
画面の中、青い吹き出しがひとつ、ぽつんと浮かんでいる。
「元気にしてる?」
送信済み。
でも、既読はつかない。
彼女が最後に返信をくれたのは、春の終わりだった。
桜が散る頃、ふたりは言葉を交わすことをやめた。
理由はなかった。いや、理由を言葉にするのが怖かった。
それでも、秋が近づくと、風の匂いが彼女を思い出させる。
落ち葉が舞うたびに、あの日の沈黙が胸に降り積もる。
「元気にしてる?」
その言葉には、
「まだ君を思ってる」も、
「もう一度話したい」も、
「あの沈黙をほどきたい」も、全部詰まっていた。
でも、彼女の画面には届いていないのかもしれない。
あるいは、届いていても、開く勇気がないのかもしれない。
既読がつかないメッセージは、
未完の詩のように、
風の中で揺れている。
そして彼は、今日もその吹き出しを見つめながら、
「いつか、既読がつく日が来るだろうか」と、
静かに願っている。
。゚( ゚இωஇ゚)゚。なんかスランプ気味ですぅ!。°(°`ω´ °)°。
9/20/2025, 1:09:38 PM