眠るように息を引き取った君に、さよならを伝えようとして口を噤んだ。
長い間一緒だった君と、たった4文字でお別れしたくなかったから。
……あのさ。
初めて会ったその日から、君の長い髪が、日の光に照らされてキラキラと輝いた、あの春の日から、ずっと君が好きだった。
春の桜も、夏の緑も、秋の紅葉も、冬の雪も、君と一緒だったから美しく感じたんだ。
僕の世界に色をくれて、ありがとう。僕に、かけがえのない思い出達をくれて、ありがとう。
愛してる。
僕の瞳からこぼれ落ちた涙が、君の頬にはらりと落ちた。
【さよならを言う前に】
8/21/2023, 8:04:38 AM