幼馴染みと指先が少し触れあっただけで、妙な空気が張りつめる。そのまま繋いでしまえばいいのに、もう子どものようにはいかない。
あれだけ大人になりたいと思っていたのに、
年を単純に重ねてもいつまでも子どものままでいて、変なところで大人だと感じるをえなくなってしまったのだと実感する。
言葉の数を知るほど無口になる。
人の心がわかるようになるほど触れあうのが怖くなる。愛を知るほど痛みが増える。
たとえ幼馴染みだとしても、男女であるというだけで大きな意味が附随されてしまうし、それに応えなくてはと身体のどこかで感じているのかもしれない。二人きりでどこかに出かけるのにも、ただ指先を触れあわせるのにも、そこに理由を求められている。「距離感おかしいよ」と言われる。お互いに恋人がいればなおさらだ。
複雑な関係ではなかったのに、そんな風に思うだけ、私が変わってしまったのだ。さっき指先が
重なったのにも「ごめん」と咄嗟に呟いていた。何が「ごめん」なのかわからなくても。あれだけ切望しつづけてきた大人になってしまった。
もう子どものようには。
10/14/2023, 12:40:36 AM