冬晴れの空を見上げると、気分がいくらか落ち着いた。
正月は姑にこき使われて終わった。三が日が終われば仕事が始まるというのに、休む間も与えられなかった。
おまけにあの人ったら舅の世話まで頼むんですもの。寝たきり老人の相手だけでも大変なのに、舅は話し相手がいないからかずーっと話しかけてくる。曖昧な返事をして去ろうとすると、彼は癇癪を起こし、妻を呼びつける。そうしたら姑に白い目で見られ、ネチネチと文句を言われるのだ。
夫も夫だ。妻がこんなに雑な扱いを受けているというのに素知らぬふりでテレビを見ている。何ら面白みのないお笑いに独りだけ大笑いしている。助けを求めたら求めたで、君は嫁だろう、それくらいしてもらわないと、と困った顔で言うのだ。頭が石器時代の人なのだろうか。
あまりにも腹が立って、ガス栓を捻って家を飛び出した。もう、あんな家、懲り懲りだった。
*
冬晴れの空に、一筋の黒煙が昇っていた。
もうそろそろだろうか。
お笑い番組よりも面白くって、ぷっと吹き出した。いけないいけない、帰ったら、正月早々悲劇に見舞われた可哀想な嫁を演じないと。
冬晴れの空を、やけに美しく感じた。
1/5/2024, 9:30:51 PM