またね!
またね!
君は軽快に笑って、僕へと手を振って、駆けて行く。
それが、君からの僕への最後の言葉になるなんて、知らずに。
君は死んでしまった。
事故だった。
もし、時間が巻き戻せるなら。
あの時に戻って、絶対に君を行かせたりしないんだ。
だから、どうか……。
「またね!」
君の軽快な声に、はっとする僕。
……何が、どうなってるん、だ?
「何、キョトンとしてるんだよ?」
そんな可愛い顔してたら、ちゅーしちゃうぞ?
と、目の前の彼が、顔を近づけてくるから。
状況が読み込めない僕は、固まったまま。
すると、益々彼の顔が近づいて。
ちゅっ、と。
僕の唇にキスを落とした。
その感触が、ひどく鮮明で。
僕はわけがわからないまま、涙を流した。
「……ねぇ、もっとして?」
そして、どうか。
もう、僕を置いていったりしないで。
End
4/1/2025, 6:47:57 AM