れもねーど

Open App

やばい、遅刻するっ!
今日の朝、目が覚めるともう8時だった。うちの学校はなぜか朝が早く、門が閉まるのは8時15分。『遅刻する』脳内でとっさに叫んだ。ご飯も食べずに急いで着替えて靴を履く。カバンの中身を確認し、あわてて外に出た。今の時期、どうしても遅刻するわけに行かないんだ。今は9月。もうすぐ前期の成績がついてしまう。こんなときに遅れたら...!成績爆下がり間違いなしだ。髪の毛はボッサボサ。目もあまり開いてなくて、とにかく寝ぼけていたが、それでも必死に足を動かす。
ドッドッドッドッド...地面を力強く踏みしめて、先を急ぐ。まだ間に合う。あとはこの坂をかけ降りて角を曲がるだけっっっっ!遅刻せずにすむかもしれなi

ドォーン

時間内に学校に着く、と確信した瞬間、派手な音がした。驚いて目をつぶる。
...なんだったんだ?転んだのかな。膝がズキズキと痛む気がする。...なんて、こんな冷静に考察している暇はない。早く行かなくては。転んだことを気にしている余裕はない。
急いで目を開けたとたん、え!?と大きな声を出してしまった。なぜなら、そこには美少女の顔が...

これが、少女漫画の世界...!?なんて、妄想を抱いていると、想像していたよりも遥かに大人っぽい
「ごめんなさい、大丈夫ですか?」という声が聞こえてきた。
そんな声にも惚れ惚れしていると、彼女はあっという間に絆創膏で手当てをして、立てますか、と言って立たせてくれた。もうこれが現実かすらわからない。内心浮かれながら僕が
「こちらこそすみません」
なんて、真摯な台詞を言うと、
「いえ、大丈夫です。...時間がないので、さようなら」
...と、こんな風に冷たく反応されてしまった。正直、寝坊して良かった、って思った。こんな美女に出会える機会、そうそうない。もうこの時には、恋に落ちていたのかもしれない。


運命なんて信じないタチだけど
今この瞬間に『また巡りあえたらな』
なーんて、そんなくだらないことを考えてしまった。
君とまた出会えるなんて、あるわけないのに。もう一回同じようなことが、起こるわけないのに。

...あれ以降、寝坊をするたびに内心ワクワクしている自分がいる。

#巡り会えたら

10/4/2024, 5:24:59 AM