恋人と暮らして、それなりに経つ。
最初は戸惑いもあったけれど、ちょっとずつ俺と彼女の過ごしやすい家になっていた。
視線を巡らせると、彼女と決めた部屋で、家具も、食器も。気がつけば彼女と選んだものばかりだ。
「どんどん楽になっていくなー……」
便利になったわけじゃない。
一人で暮らしていた頃に比べて不便になったところもあるけれど、それでもふたりで過ごすには精神的に楽な〝家〟になっていた。
ちらりと恋人に視線を送る。
いつか、家族になったら、もしかしたらこの家でも場所が足りなくなったり……するのかな?
それがどういうことか、改めて考えると顔から耳から熱くなる。
まだまた理想郷には遠い……かな?
おわり
一六八、理想郷
10/31/2024, 11:10:48 AM