るに

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警報機が鳴り響く中、
少女は裸足で走っていた。
生きたい、生きたい、と
思いながら。
監視機器を壊したせいで、
火災警報器やら何やらが
誤作動を起こしていた。
少女は構わず走る。
扉がいくつもあって
終わりが見えない廊下を。
実験施設というには
施設味が欠けていて、
バックルームというには
人間味が残っていた。
ずっとここが
地獄だと思っていた少女は
走ってる今が
今までで一番天国だった。
1枚の薄っぺらい
白いワンピース。
如何にもな格好な少女は
ただ足を動かすだけ。
やっとの事でたどり着いた
非常用出口を出ると、
非常階段がズラーっと下に続いていた。
しかし
下からは大勢の上がってくる足音。
追っ手が来た。
少女は慌てて上へと進んだ。
屋上には塀があったが
少女は楽々と超えた。
下は海か、湖か…。
飛び降りることを覚悟した少女の服を
ぐっと誰かが引っ張った。
振り向くとそこには
少女と同じくらいの年の少女が。
足が悪く、
塀を超えれないようだった。
少女は
自分より低い位置から
見つめられると
どうしても手を伸ばしたくなる。
少女は服を掴む少女に聞いた。
どうしたいかと。
服を掴む手を離さない少女は答えた。
死にたくない、と。
助けるに十分値する答えだった。
手を引き
少女を塀まで持ち上げた。
"Good Midnight!"
人間を捨てられなかった。
助けようと引き寄せてしまった。
全く知らない誰かなのに。
少女の腹が熱く赤く燃えている。
吹き出る赤は炎のようだ。
少女は少女が
死にたくないから少女を追う、
誰かだったと
灯りが消える直前にわかってしまった。

3/28/2026, 1:10:39 PM