駒月

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「こたつにみかん……?」

 知らない組み合わせに真顔で聞き返してしまった。何でも同僚が言うには、冬はこたつに入ってみかんを食べるのが良いらしい。
 ストーブしか知らなかった私は、一度入ったら抜けられなくなるというそのこたつ……そして相性抜群のみかんにとても興味を持った。

「知らないの?ダサっ」
「ダサくて結構。君の部屋に行きたいのだが」
「はぁ?無理だけど」
「皆で行けばいいだろう?」

 私と二人きりになるのが嫌な同僚女子を説得し、約束を取り付けた。



 そして念願のこたつに入る時が来た。
 こたつ布団をめくると、熱気が広がるのがわかる。

「ああ……」

 足の先から太ももまで、あたたかさで包まれた。こんな感覚知らなかった。ずっとこの中に留まっていたい。

「これは心地よい。このまま寝てしまいたくなるね」
「ふっ、まだ早い」

 気分を良くした同僚はお盆に乗せたみかんの山を持ってきて、テーブルの上に置いた。

「ほら、食べてみなよ」
「ではありがたくいただこう」

 皆にみかんが行き渡る。実はみかんは初めてだ。見様見真似で剥いて口に入れると、みずみずしく濃い甘さが訪れた。

「甘い……病みつきになりそうだ」

 もうひとつみかんをおかわりすると、皆は笑った。

「ここで仕事をしていたい」
「それは却下だ」
「帰れよ」

 わいわいと団欒は暫く続いた。
 こうして皆で過ごす時間を大切にしたい。
 願わくば、この幸せがずっと続きますように──

 


【みかん】


12/29/2023, 11:58:15 PM