「愛と平和」
愛と平和は全くの別物…
今の私がそうだから…
先輩の登校時間に合わせて私も登校する。
昼休みは屋上に向かう。
たまに部活をサボって一緒に駅まで帰る。
先輩との接点を増やしたくて…
でも先輩との距離はなかなか縮まらない…
もっとおしゃべりしたい…
もっと一緒にいたい…
もっと触れ合いたい…
もっと私から踏み出さなきゃ…時間がない…
卒業してしまったらそれで終わり。
先輩のことだから私のことなんて忘れてしまうだろう。
そんなの絶対ヤダ!
でも告白をする勇気はない…
先輩には何故か人との距離を置こうとするものを感じる。
今告白をしてもだめなことが分かる。
分からない…どうしたらいいのか…
私はいつものように屋上で先輩の肩に寄りかかり、目を閉じていた。
「起きろ、そろそろ行くぞ」
先輩の声が聞こえたとき、私の中でどうしょうもない感情が溢れ出した。
「ヤダ!」
私は駄々をこねる子供のようになってしまっていた。おそらく顔も歪み涙目になっていただろう。
立ち上がろうとしていた先輩はそんな私の異変に気付いて、立ち上がるのを止めまた私の横に腰を下ろした。
「どうした?!なんかあったか?」
先輩の優しい声が私の胸に鋭く刺さる。
こんな私を見て先輩は今何を考えているのだろう。
こんな欲望まみれの私を先輩は好きになってくれるのだろうか。
私は気持ちを押し殺し精一杯明るい声で
「やだなぁ先輩、ちょっと怖い夢見ただけですよ、心配しちゃいましたか先輩?」
「なんだそりゃ、てか夢見るほど寝てんじゃねぇよ」
「ほら、行くぞ」
先輩は頭をガシガシかきながら立ち上がり私に手を差し出してくれた。
「なぁ、今日一緒に帰るか?」
「えっ」
突然のことに私は声を失ってしまった。
「嫌ならいいんだ嫌なら、てか部活あるしなお前、今の無し忘れてくれ」
「え〜!!勝手に誘って勝手に無しにしないでください!」
「先輩から初めて誘われて戸惑ってしまって」
「帰りたいです!一緒に帰りたいです!」
「おお、そうか…でも部活あるだろ」
「休みます」
「お前なぁ…最近ちょくちょく部活休んでるだろ?」
「うっバレてます?」
「そりぁ…部活休むのはダメだ!終わるまで待っててやるから」
「ホントですか先輩!わかりしました。絶対待っててくださいよ!」
「おう」
先輩は気恥ずかしそうに顔をそむけ歩き出してしまった。
「ありがとうございます」
私はそう呟き先輩におもいっきり抱きついた。
3/10/2023, 4:16:42 PM