圭昭

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風に身をまかせ

風が強く吹き付けた。
暗闇を裂き、光が私へと届く。
轟音が響き渡った。
逃げ場を失った音たちは私の耳へと飛び込んできた。
ふと、眩暈が私を襲った。
瞬時に姿を捉え、現実へと戻る。
そして、息つく暇もなく風が私を吸い込む。
身を任せて楽になってしまってもよかった。
だが、そうはいかなかった。
悲しいことにそれを阻止する人が世の中にはいる。
私一人が楽になると、世の中の誰かが計り知れない害を被るというのが世の常らしい。
そこまでして、私は楽になりたいとは思えない。
楽を望むだけの夢想者、ロマンチストでしかない。
思考を行為へと変化させることができれば、ロマンチストという切ない私を捨てることができそうだった。
しかし、思考は思考のままで行為へと羽化することは未だ叶わない。
行動へと考えを変えられればどれほどの世界が見えるのだろうか。
思考を行為へと変容できれば楽になる。
次に風が強く吹いた時私は本当に風に身を任せ攫われる。

5/15/2026, 8:54:57 AM