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桜散る

 理想どおりにはならなかったとき、受験の失敗や恋に敗れたときに、桜散ると例えられることがある。

 散るという言葉だけ見ると悲しさだけが強調されるように思えるが、その前に桜、が付くと、それだけではないように感じる。単純にいえば、人生の美しさ、と言ったところか。それがあるからこそ、散る悲しさにさえ愛おしさを感じる。受験失敗したけど頑張ったよね、とか、またいい人に会えるさ、なんて言葉が無価値ではないのはこういう理由があるのかなと思う。

 花がなぜ散るのか。それは、開花してしばらくすると花弁の根本に離層という細胞層が生まれることと関係している。離層が形成されることで、花びらがくっついている部分の細胞間物質が分解される。これにより、花びらが離れていく。

 ええっと。

 離層が理想を引き離す……。

 おあとがよろしいようで。

 

4/17/2024, 10:41:38 PM