Rutu

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初恋。私こう見えて一目惚れ多いタイプでさぁ、初恋なんて正直あんまり覚えてないかなー。

なんて嘘。私の初恋は小学2年生。早すぎる、どうせガキの遊びだ、長続きする訳ない。申し訳ないけどそう思う人は飛ばしてもらって結構。
私は水泳を習っていた。兄も姉も成績優秀で私も優等生を演じなければならなかった。正直そんな肩苦しいもの私には合わない。だから水泳で気楽に息抜きをしようと思った。だが、気づいた時にはゆったり進むスイミングではなく育成コースという本格的なコースへ変わっていた。学校でも水泳でも自分には居場所はない。ただひたすら何かをこなすだけ。そんなある時、ある男の子と出会った。私に優しく微笑んでくれたんだ。私は嬉しくて……でもやっぱり恥ずかしくて笑ってるしかなかった。

「なんでそんなに笑うの?僕、なんかついてる?」

「い、や……違うくて……」

そこから私たちは一気に仲良くなった。世の中ではバレンタインデーと呼ばれるらしい2月14日。私は彼に告白した。本当に喜んでくれて君は私のチョコをギュッと抱きしめた。そして私にニコッと笑いかけて

「ありがとう。じゃあ、またね」

と手を振った。私はただ頬を赤らめて手を振り返すことしか出来なかった。それでも良かった。だって……君が喜んでくれたから。
そして私は彼と小4まで付き合った。別れは突然である。いつも通り水泳に通って……その日もまたねと手を振って別れた。家に帰ってから知らされたのは「水泳、もう今日で終わりだから。」その一言。え、待って。なんで、なんでそんなに急なの?まだ私辞めるとも言っていない。彼に別れも伝えていない。
私が突然消えたから彼はきっと私に怒ってる。ごめん、ごめんね、何も言うこと出来なかった。君との時間をもっと大切に……。すると神様が最後のチャンスを恵んでくれた。姉の人脈から最後の手紙を送れるとのことだった。私は無我夢中で書き上げた。彼は私のことを許してはくれない、わかっていながら書いた最後の手紙。綴った言葉は鮮明に頭の中に残っていて今もなお初恋の甘酸っぱさを思い出させる。わずらわしい……熱いものが頬を伝っていく。

5/7/2023, 10:30:40 AM