【旅路の果てに】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
1/31 PM 7:30
「ただいまー、暁」
「あれ? お帰りなさい、お母さん。
お仕事、一段落ついたの?」
「まぁなんとか目処は立ったわ」
「お疲れ様~。ご飯食べる?
それとも先にお風呂入る?」
「とりあえずビール」
「はーい、持ってくるね。
……お母さんの会社は、
いつ働き方改革実施されるの?」
「そんなものは、政治家の描く絵空事よ」
「わぁ、世知辛い」
「……あんたは相変わらずクイックセーブ&
ロードを駆使して進めるようなキャラ攻略
ゲームばかりやってるのねぇ。
たまにはRPGとかやりなさいよ。
世界中を巡る旅路の果てに辿り着く
感動ってものもあるのよ?」
「え~? でも、そういうゲームは
もう少しで終わっちゃいそう! って
思うと、最後の町で止まっちゃって、
そのままクリアしないで放置になりがち
なんだもん」
「そんな半端なとこで放置するなんて、
ゲームプログラマーの母に
ケンカ売ってるのかしら、この娘は……」
「売ってないよ~。尊敬してます。
……それで、ご飯どうするの?
何かリクエストある?」
「……オムライス」
「オムライスでいいの?」
「私の思い出のゲームの中では、
疲れて家に帰ると、パワフルで優しい
ママが、ゲーム開始前に自分が設定した
好きな食べ物を作ってくれたの」
「それがオムライス?」
「そう。いつだって私を勇気づけて、
元気をくれるママだった」
「へぇ~。ちなみにパパは?」
「パパは遠くにいて、
電話で話すしか出来なかったわね。
ぶっちゃけ、セーブポイントなんだけど。
冒険に必要なお金を振り込んでくれたり、
たまにおせっかいを焼いてきたり」
「……お父さんとほぼ一緒だね」
「……私も言っててちょっとそんな気がしたわ」
「ふふふ。じゃあ今夜は思い出のママの
代わりにわたしがオムライスを作るね!
真夜(よる)くんが作ってくれた
ハッシュドビーフもあるから、
ハッシュドビーフオムライスにしちゃおう」
1/31/2023, 4:26:13 PM