師は走るというし、雪が降ると犬は庭を駆け回るともいう。あなたは犬であり師でもあるから、こんな年の瀬にも忙しなくしている。サンタクロースを名乗るにはちょっとだけ遅かったけれど、宝物のように誰かの骨をくわえて笑顔で走ってくるものだから、なんだかこちらまで泣き笑いになりたくなる。
どうしてこんなに寒い中まだ駆けているのだろう。止まりたくないひとは除夜の鐘をききながら、年の瀬と年始めの境界線を飛び越えて、わたしたちの知らない遠くへゆくのだろう。
こたつでみかんでも食べながら紅白観ようよ、と庭の犬に思ってみた。
たまにはそれもいいかもね、なんて、犬でも師でも思ってみてほしい。
扉を叩けばひらく準備はできている。火種はもう見つけなくていいから、あたたかいストーブの上でみかんを焼こう。
12/30/2024, 8:43:20 AM