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子供の頃は、なんと大人になりたかったことか。大人になればできないことがきっと沢山できるようになる。難しい話にも交ぜてもらえるようになる。まだ一桁だった年齢を言うと羨ましがる大人の気持ちなんてこれっぽっちも分からなかった。子供には大人と違って可能性があると、大人は皆口を揃えていった。好きなことだけしていても許されると。自分たちには時間がないと。大人は一体何に追われているの?好きなことだけをすることは悪いこと?可能性とはどういうこと?今できることができなくなるの?いつか終わりが来るの?始める前から諦める大人が分からなかった。

大人になって分かったこと。それは大人の殆どが子供でいることを禁じられた人だということ。大人という役割りを演じることを命ぜられ、遂には子供の心さえも忘れてしまった人だということ。昔は難しくて面白そうに感じた話題も、今では世間話や陰口が多いことを知った。学術的な話は、ただ灰色の、社会の中で生き残るための話術の一環であることを知った。傲り、嫉妬や裏切りが多い世界だということも知った。けれど大人になればなるほど、昔見上げていた大人と同じことを無意識に発している自分がいる。時間がない。それがとても恐ろしい。歳を取ることに悍ましさすら感じるようになった。しかし自分の大人化は止まらない。狂った車輪のように、下り坂を勢い良く転がっていく感覚に襲われる。

子供のままでいいんだよ。子供のままで。子供のままであればあるほど、人生の本質を突けると思う。
子供のままでいい。それは幾つになっても解らないことであり、幾つになっても、一生涯かけて、自分に言い続けることである。

5/12/2026, 9:13:58 PM