12歳の叫び

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お題「終わりなき旅」

私は、なぜ人を救えれるような人になりたいと思ったのだろう。
最近になって、ジメジメした季節になった。汗の匂いが漂う教室で、私はお気に入りのお花のスプレーをふりかけている自分を好きになる。
私は、あの夏を思い出す。ベランダから見える花火を見て、その後、自分も花火をして、衒う花火と一緒に私も輝けていた。
夏しか私を輝かせてくれない。そんな夏がある。大好きな夏の横に、いいや。横にすら居られない私は、いる。
絵が好きだった。自分の世界に浸れるから。上手だと言ってくれるから。けれど、絶対にここにこれを書いて、これはこの色で塗れ。そんな命令を出されるような時間は嫌いだった。
運動が好きだった。成功すると嬉しいから。けれど、誰かと戦ったり、協力して争うようなものは嫌いだ。自分が失敗したら、下手に励まし合うから。
勉強が好きだった。自分がやっとちゃんとした人間になれた気がするから。けれど、私より努力している人、していない人との距離が近いから。私の努力は不足していると感じて、やる気が起きない。
なんだか、好きなものがどんどん減っていく。そんな私が嫌いだった。でも、一つだけ好きなものがあった。
小説が好きだ。自分の世界に浸れる。小説に助けられた人もいるけれど、私には助けられるようなじんせいをおくっていない。
けれど、やっぱり好き。人を助けられるような人はどんな人なのかを知れるんだ。
それは、自分も辛い思いをした人や、人生とはなんなのか、現実味のある小説を書く人が多かった。それに比べて私はなんだろう。
対して辛い思いもしていないし、救えられたこともない。だけど、必死に幸せになろうとしている。
何冊も小説を生み出しているのに、心がひとつにまとまらない。
早く人を救いたい。早く誰かに見てほしい。早く将来の夢が欲しい。早く友達が欲しい。早く、早く!
なにが愛していた人が幻覚の人物だ!普段している臆病な行動に注目して進む小説なんて誰も読まないだろう?
ビリビリと破る原稿用紙を汚く丸めて、紙袋に入れる。それは、前からの事で、何冊も小説を書いても泣いて破る私を後々、後悔した私の工夫。その後、紙袋から敗れた原稿用紙をテープで繋ぎ合わせて、棚の奥底に並べるのだ。
最近になって、量が増えてきたけれど、わざわざ確認して捨てるのは、また泣いてしまうだろうという恐怖から捨てられない。 
いつになったら自分で読める小説をかけるのだろうか。もう、誰かを救いたいだとかどうでもいいんだよ。自分を救いたい。自分を愛することしか出来ない。誰か愛して欲しい!愛せよ。
これだけ小説を生み出しても、心の無駄な黒い煙は、綺麗な煙と分離してくる。
私を1番に思ってくれるモノが欲しい。恋人が欲しいわけじゃない。友人が欲しいわけじゃない。ただ、私を思ってくれるモノが欲しい。
私が死ぬまでに、そのモノは、見つかるのだろうか。あとはざっと、九十年しか生きられない。
死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。まだ生きたいよ。千年は行きたい。千年生きられなくちゃ、見つかる気がしないんだ。
終わりなき旅を手に入れるにはどうしたらいいんだ。死んだら全部終わりなんてやだよ。死んでも小説書けるかな。しんでもこの生活?死んでもこの顔?なら尚更死にたくない!
きっと、この人生を終わりなき旅と言えるのは若いからだろう。辛いからだろう。私は、若い。でも辛くない。

5/30/2024, 11:00:26 AM