湿気に弱い髪がうねるから雨の日は嫌い。そのようなことをぼんやりと思いながら、大きな窓に寄り掛かってしとしと降る雨を眺めた。「アンタ卒業したらどうするの?」不意に出た言葉だった。「世界中の美しいものを、この目に映そうと思っているよ」こちらに視線を寄越しもせず囁くようにアンタは答える。コイツの言うことはいつも嘘か真実か判断に困る。けれど何故だか本当に行くのだろうと思った。「そうして、たくさんの美しさをキミに話しに行くよ」「アンタ──」「見て、虹だよ!」アタシの言葉を遮ってアンタは外を指差しながら声を上げた。アタシ雨の日って嫌いなの。でも今日のことは絶対に忘れない。
2/22/2025, 12:54:53 PM