時計の針みたいだねと言われたことがある
決してブレずに、
同じ動きのまま
一定の幅を保って歩み続ける
でもふと目をやると
止まっているように見えて不安になるし、
その歩みが止まる時は
あまりにも唐突で
しかも絶望的な停滞なのだと
だから目が離せない、と
真面目だけが取り柄であった私の人生の中で
そんな口説き方をする人間は後にも先にも
あの人、1人だけだろう
そして肩身離すことのない腕時計のように
私のことを安定なる愛で包んでくれたのも
あの人だけだった
若い私はそのことに気づかなかった
完全に失ってから、
全てに気づいてしまった
今や
私の時計の針は、
動かないどころか
その指針を無くし、
ただ寂れた文字盤だけが
絶望的な静けさをまとっている
2/6/2023, 11:39:41 AM