「なんか、俺等ってつりあって無いよな」
ポツリと呟く。
それは何も考えないで自然にでたもの。
「…まぁね」
隣の友達が少しためらいながら言う。
「聞いてくれよ。俺、成績良くないし、顔がいいわけでも無いし、不器用だから、何もかも正反対のお前と友達なことに周りの奴らが嫉妬して陰で悪口言われてるんだぜ?良いよなぁ、お前は。女子からの人気も凄いし、外見だけじゃなくて中身も良いし。俺お前と友達になったの今となっては後悔してる」
「え…そっか、ごめん」
何なんだよ、こいつ。
そういうところも好かれる原因なんだろうな。
自分は何も悪くないのに、ただ俺が勝手に後悔してるだけなのに。
言われた事、全部受け入れようとするし。
自己犠牲精神凄いし。
辛いよ。
隣にいちゃいけないのかなって思うじゃん。
いや、実際隣にいちゃいけないんだろうな。
こんな性格いいやつで損ばっかりしそうなやつの隣に。
きっと、俺みたいな性格悪くて得ばっかりしようとするやつはいちゃいけないんだ。
だって、どうせ俺はこいつの事利用しようとしてる。
最初はそれが目的で話しかけたし、前までは、こいつと居ることの利益を探してた。
最低、だけど、仕方ない。
「もう、昼休み終わるし教室いこうよ」
「うん」
授業が終わって放課後。
あいつに近付く奴がいた。
「今日、一緒に帰らない?」
そいつは、クラスでもあいつに並んで頭が良いやつだった。
名前は、さつ、だったか?
漢字はわからない。
「今日は…」
あいつが断りづらそうにそう言う。
「良いじゃん、今日はストーカーいないしこんな機会滅多にないからさ。実は話してみたいと思ってたんだ」
ストーカー…か。
これは俺の影でのあだ名。
または、金魚のフンとも。
「ストーカー?誰の事?」
「決まってんじゃん、いつも一緒にいる奴」
「!ストーカーじゃないよ」
あいつの声が低くなった。
素直に嬉しいと感じる。
あいつが俺の為に怒ってくれているから。
「なにしてんの?」
二人に近付くもう一人。
その一人は性格が凄い良いと言われる人間。
佐々木 大(ささき だい)って名前だった気がする。
「や、一緒に帰らないか誘ってんの」
「あー、え、本当?……どうする?」
佐々木は期待いっぱいのまなざしをあいつに向けている。
「その、今日は、一緒に帰る約束してて」
「良いんじゃない?」
タイミングはバッチリ。
急に出てきた俺に全員少し驚いた表情見せた。
「いや、僕はお前と一緒に帰りたいし…」
「良いじゃん、俺は今日一人で帰りたい気分だったんだ」
「え、でも…あの、みんなで帰るとかって…」
折角、俺以外のやつと話す機会だしちょうどよかった。
それに、正直迷ってた。
これからも一緒にいて良いのか。
果たして、あいつが得することはあるのかと。
これでやっと踏ん切りがつく。
新しい友達ができれば俺のことなんてすぐどうでよくなるだろう。
「それじゃあ、また明日」
教室を出る。
少し悲しかったが、本当に少しだけだった。
「ねぇ、ここ最近、僕のこと避けてない?」
「まぁ」
「やっぱり」
昼休み。
数日ぶりに話した。
「何でわざわざ聞いたの?」
「…僕は悲しかった。僕は君のこと勝手に大親友かと思ってたから、君に拒絶されて悲しかった」
「大親友!?え、俺の中じゃ親友ですら無いんだけど」
「僕は、君と話すのが一番好きで、そんなふうに思わせてくれる君も好きだ」
「……ありがとう?」
「だから、友達でいいから君のそばにいたい」
「なんかキモいな、プロポーズみたい」
「そう?」
二人で笑った。
楽しいな。
案外悪くない。
追い風
付け足しですみません。
多分見ない人が多いと思うけど一応。
旅行に行っていて期間が空いてしまいました。
ごめんなさい。
今日から学校です。
頑張って行ってきます。
1/7/2025, 11:52:06 AM