夜は、ただの闇ではなかった。
それは星が息をひそめて待っている、
大きな器だった。
空の奥にあいた円環は、
終わりではなく、呼びかけだ。
「ここまでおいで」と、
光が静かに手を伸ばしている。
雲は記憶のように重なり、
無数のきらめきが
言葉になる前の想いを運ぶ。
名を持たない願いほど、
星はよく知っている。
足元には、小さな灯。
一本の木が夜を信じて立ち、
黄金の粒が
時間を忘れたように瞬いている。
それは祝福ではなく、
「生きていていい」という合図。
見上げるたび、
空は満ちていく。
孤独さえも、
星の数だけ意味を持ち、
胸の奥で静かに光りだす。
今夜、
空いっぱいの星は語らない。
ただ、
黙って抱きしめるように、
世界を照らしている。
12/30/2025, 4:30:47 PM