木枯らしが吹く季節になった。コートの背中を丸めて駅への道を急ぐ人々の波に乗る。子どもの頃、上着のポケットに手を入れて歩くと怒られた。それで大人になった今もまだポケットに手を入れて歩くことに慣れない。家に帰ったら手袋を探そうと心に決めた。
家について冬物を入れているクローゼットの引き出しを開ける。「確かこの辺にまとめて入れたんだけどなあ」と思いながら、ごそごそと奥に手を入れる。
部屋で履いていた毛糸の靴下が出てきた。これも出しておこう。続いて、マフラーにニット帽も出てきた。ついに出てきたベージュの手袋。
手ぶくろに手を入れるとちくりと何かが刺さったような感じがした。慌てて手を出して、何かが刺さった部分を見る。特に問題はなさそうだ。
手ぶくろをひっくり返して見る。何か動いているものがいる。虫?恐る恐る手ぶくろを目の近くに持ってくる。1センチくらいの…何だろう。人の形をしている。小人?宇宙人?
私はどうしたらいいかわからず、その生き物の動きを見守ってみることにした。
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お題:手ぶくろ
12/28/2024, 8:18:56 AM