彼は私の変化にすぐに気づく。疲れてたら黙って布団に連れてってくれるし、悲しいことがあったら横にきて頭を撫でてくれる。
私は何にも言ってないのに。
こんな人に出会ったことなかった。まるで魔法のように私の心がわかる。
ある日、私は会社の上司と一緒に帰った。入社したばかりの時、ちょっと好きだった人だった。飲み会の後で、私は二次会を提案したが、
「彼氏いるんだろ? 悪いよ」
と帰っていく。そんなところも好きだった。
帰ってきた私を見て彼は、突然に外に出る準備を始めた。
「今からどっかいくの?」
準備を終えた彼は一言言った。
「しばらく出て行くよ」
私は思わず口を塞いだ。いや、私は何も言ってない。心が発しているんだ。
何ヶ月も過ぎて、私は寂しさでいっぱいになった。心から彼に会いたいと思った。
思いは窓から部屋を出て、どこかを彷徨う。
あなたの元へ。
その次の日、彼は帰ってきた。真っ直ぐな眼で私を見つめて、微笑んだ。
私は思いが行きついたその先を抱きしめた。
2/6/2024, 12:00:35 PM