『子供のように』
うちのリーダーは基本感情を表に出さない。
淡々と仕事をこなす人だ。
丁寧だし早いし、教えるのも上手い。
ただ教え方が少し怖いのが少し難点ではある。
リーダーが少し表情を出すとするなら困った顔だろう。
仕事が行き詰まってたり、私たち部下のミスの処理等…
仕事の多さに頭を抱えてる時は少し困った顔をしている。
それくらいで楽しそうな表情はあまり見た記憶が無い。
だから私は少し楽しませようと手紙を書類の間に挟めたり、
小さな造花をリーダーの机に置いたりしていた。
全て空回りだった…
そんなある時急にリーダーから呼び出された。
怒られるかなと思いながら入室した。
「本題に入りますが、書類に手紙が挟まっていたり、私の机に花を置いたりしたのは貴女ですよね?」
「あ、私ですねぇ…」
「どういう意図でやったのか分かりませんが、集中してください。」
「いや、リーダーに笑って欲しいなと…」
「わ、私にですか?」
その瞬間、リーダーの顔が少し赤くなったのがわかった。
「リーダーっていつも仕事一筋って感じで楽しいのかなって思ってたので、つい出来心で楽しんで欲しいなと…すみません」
「い、いやそれなら…良くないですけど、ありがとうございます。」
「え?怒らないんですか?」
「貴女がわざわざ私の為にしてくれた行為を怒るなんてしませんよ。むしろ嬉しいですよ」
その言葉と共に見せた笑顔はまるで子供のように明るい笑顔だった。
10/13/2023, 1:24:14 PM