Open App

蒼いシロップを透き通るまで割って
ふわふわの綿飴で蓋をする。
雫模様を描いたグラスには
強めのクリームと鮮烈なレモン。
きらきらと注がれるサイダーに
小さな金平糖が踊っている。

ふと視線を向けた暗闇は、
気の遠くなる様な銀紗に覆われて。
私のいないその暗闇は、
いっそ五月蝿い程に眩いようで。

サービスです、と差し出されたチョコレート。
白い果実を隠した黒を、皮肉かしらと見上げれば
次は暫く先でしょう、とマスターは笑う。

それもそうか、それもそうだ。

私を見えなくなった人々の歓声に耳を傾けながら、
移り行く時にグラスを重ねた。

<星が溢れる>

3/16/2024, 9:32:19 AM