お題『みかん』
「小説界隈で神になってみんなから崇められたい」が口癖の友人がいる。
同じオタクでたまたま趣味があってからというもの、私は彼女とつるんでいるが、それにしてもこいつ、口先だけである。
最初は、「神絵師か神字書きになりたい」と言っていた。だが、私がXで描いた推しカプの絵がそれなりにバズってから彼女の目標は「神絵師と神字書き」から「神字書き」にシフトした。
あまりに「神字書きになりたい」ばかり言うので、さすがに「作品書いてるの?」と聞いてしまった。
そしたら彼女、視線を左右に泳がせた後、
「書いてはない」
「書いてない? マジで」
「でも頭のなかにあるの」
「じゃ、アウトプットすればいいじゃん」
「いや、でも出してブクマが一桁だったら凹むし、上手くなってから出すつもり!」
いや、ブクマ一桁でもいいから出せよ。という言葉が出そうになる。
が、そこはこらえて
「とにかく書こ。それが神字書きへの第一歩だよ」
「え、でも第一作から鮮烈デビューを……」
「それは大体は別のアカウントで経験を積んだ人が新規アカウント作って初めて成し遂げられることなんだよ。さ、書こう。頭のなかに未刊の大作があるんでしょ?」
「あのえっと……」
これは友人のためというよりも、推しカプ作品を一つでも世に放つためだ。一生懸命になれるのは、私のエゴのためだ。私は友人が頭に描いているネタを見て一緒にブラッシュアップした。
12/30/2024, 3:40:57 AM