祷楓 (いのり かえで)

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『新年』

年が明けて今年度が始まった。
我が家では、毎年夜中の零時を回った時点で、近くにある氏神様の神社へ新年のあいさつのために参拝する。その後は社務所で御札を買う。
そこまでやって、やっと帰宅して眠れるのだ。
コロナ禍以前はそのまま持ってきた昨年の御札やお守り、しめ縄などを燃やして火にあたって温まってから帰るのが恒例だったが、それも無くなってしまった。

幸い一月一日の朝起きてから参拝に行くもうひとつの大きな神社では、三十一日から受け付けているので、事前にそちらの方へ持って行った。

昨年は、正月だと混んで危ないだろうと家族と相談し、三十一日の午前中に行く早めの二年参りくらいの感覚で向かったが、それでもなかなかの人出だった。

二年参りの単語そのものは、主に長野県、次いで新潟県、群馬県、島根県などで使われている方言だ。そう、標準語ではない、方言なのだ!
この県のどれかに住む者なら誰でも知る単語で、それ以外の県の方々には耳馴染みがない単語だろうから、二年参りについて軽く説明をしておこう。
二年参りとは、大晦日の深夜零時、年をまたいで参拝することだ。
呼称自体は、二年参り以外に、年越し参り、年越し詣でなどと呼ばれることもある。

私も学生時代、家族みんなで揃って一度だけ二年参りに行ったことがあるが、翌日全員が風邪を引いて寝込んだ覚えがある。
そりゃそうだ。特に雪が降る地域では雪が降りしきり強烈に冷え込んでいる夜中、酷ければ猛吹雪の中、参拝して風邪を引かない方がおかしいのだから。
もし二年参りに行くならば、事前に天気がいいことをよく確認してから行くことを強く勧める。悪ければ素直に日をずらして参拝する方が安全だ。

話を戻そう。
普段の休日でも全国からたくさんの人が集まる大きな神社は、正月の昼にうっかり行こうものなら、駐車場に止めるまでに二、三時間待ちが普通、そこから参拝するまでまた二、三時間待ちが必須……というくらい人気が高い場所で、正月の時だけは地元民でも周辺が混みまくるのでかなり大変なことになっている。
わざわざ県外から来る人が多いので、私はよほどご利益があるんだなくらいにしか感じたことがない。
無理に正月に参拝しなくても、小正月の十五日まで一応正月扱いなので、それまでに行けばいいと思う。
今の時代、適度に分散できるところはしていかないといけないから、どうしても正月でないと駄目という先入観は持たない方がいい。
時には柔軟に対応することも大切だ。
……ちょっと語ってしまったが、これくらいに留めることにする。

皆さん、新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
皆さんにとっても今年が昨年よりもより良い年でありますように。

1/1/2023, 12:10:59 PM