声が枯れるまで、飲んで。歌って。
ひとり行き着いた、馴染みのバーの端っこの席。
終電はとうにない。時刻は午前2時。
酔いも覚めてきた。目がしぱしぱするからコンタクトを取りたいけど、メガネは家だ。全く見えないわけではないけど、視界がぼやけるのは心許ない。
あー。なにやってんだろう。
あー。どうしようもないなー。
あー。ねむい。かえりてぇ。
「あ゛〜」
「すごい声」
そう言いながらマスターは、私の前に透明の液体が入ったグラスを置いた。頼んでないなーって思いながらグラスとマスターを交互に見る。
「お水です」
「なるほど!」
急に喉が渇いた気がして、クラスを手に取り一気に飲む。
10/21/2024, 2:22:00 PM