半月ぶりに家に帰る。
自分の妻と息子が住まう村はまた入居者が増えたようだ。農地がさらに広がっている。
大地の精霊が数体自分の身体を回り、楽しそうな歌声を聴かせてから空気に溶けていく。
土地が富んでいる証拠だ。
丘を1つ越え小さな畑と井戸を横切った時だった。
「ちーち!」
自分の茶髪を受け継いだ2歳の幼児が母親の束縛を解いて走ってきた。
「ただいまカルス」
「ちーち!かえり!」
「うん。また重たくなったな」
抱き上げるのは苦ではないが、前回に比べてずっしりと重みは増していた。
家の前で妻が畑の籠を持って立ち尽くしている。父子での時間を見守ってくれているようだ。ただいま、ともう一度言うと微笑んで駆け寄ってきてくれる。
「お帰りなさい。予定より早かったわね」
「うん」
子供が生まれる前は、涙をこぼしながら抱き付いて迎えてくれたのに。子供が生まれるとこうも女性は強くなるのか。自分は淋しくて淋しくてたまらなかったんですがね?
「鶏肉のシチュー作ってるの。あと、ニシェの香草パイづつみ。荷解きして足をゆすいだら食べてね」
「ありがとう」
早かったと言いながら、全部僕の大好物。予測して作ってくれていたんだなと胸がじんとする。
「ごはん!たべる!」
「おう」
腕の息子もお腹が空いたとアピールしている。妻はニコニコと畑のものを捌いていった。
食べることは大好きになった。君が作ってくれるから。君の待つ家に帰ってきたと実感するから。
好きじゃないのに
3/25/2026, 10:31:45 AM