【さぁ冒険だ】6
「さて、どうしたものか…」
私は途方に暮れていた。
だってそうだろう。
小さくなったものの、鍵がないとここを通ることは出来ないと来たもんだ。
だったら大きい時に言ってくれれば良いのに…。
「ねぇ、どうにかしてここを通ることは出来ないかしら?」
扉「無理だね」
「そこをなんとか!」
扉「…」
黙秘するなんて卑怯者め。
と言うより、扉なんだからこれが普通なんだよね。
「もう一度大きくなれたらな」
?「だったら私をお食べ!」
「…」
うん。知ってた☆
「あらあら美味しそうなクッキー!」
私はわざとらしく大袈裟に言い放った。
そこにはこれまた可愛らしいお菓子箱が立っていた。そう。立っていた。
「あなたを食べればまた元の大きさに戻るのね?」
クッキー「そうよ!だから私を食べて!」
「…」
本当にこんなのを食べてお腹壊さないかしら?
クッキー「さぁっばさぁ!」
「…いただきます」
私は箱を開けて1枚クッキーを摘まんだ。
そして思いきって口へと放り投げた。
「…!」
すると、小さかった体がみるみる大きくなっていくではないか。
私はテーブルに手が届くほどになると、手紙を手にした。中にはお城への招待状と小さな鍵が入れてあった。
「やった!これで外に出られる」
私はそれらをポケットにしまうと、再び先程のキャンディーを口にし小さくなった。
「どう!これで外に出られるわよね!?」
扉「そんなに勢いづかなくても、鍵を差し込めば自然と外に出られるよ」
そう言うが早い。私は鍵を鍵穴に差し込んで時計回りに回すとやっとこ扉の外へと出られた。
「さぁ、これからが冒険の始まりよ!」
私はお城へと続く真っ直ぐに伸びた道を歩き始めた。
2/26/2025, 12:18:14 AM