語り部シルヴァ

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声が聞こえる

スカッ、スカッ、バシュッ、スカッ。
矢は1本しか当たらなかった。
集中できてないのか、型が悪いのか...
悶々と考えてると隣が4本目を放つ。

バンッ!!
しっかり張った的に綺麗に矢が刺さる音がした。
皆中...四本全て当たりだ。

矢を取りに行く時に話しかける。
「さすが、前の試合で1位取っただけあるね。」
「前にやった小さな大会のことでしょ?
嬉しいけどまだまだだよ。」
「大会の規模は関係ないよ。1位とったっていう実績が
すごいんだから...あーいいなー。
どうすれば君みたいに皆中できるんだ?」
「んー...声を聞く...かな?」
「はえ?」
「僕もよくわかってないけど、姿勢や矢、弓の声が
聞こえるんだよ。"まだ離すな"とか"体をもっと張るように"
とか。」


とにかく声を聞くようにしてみて!
と言われて僕は礼をしてもう一度射位に立つ。
弓を持ち上げ、ゆっくりと降ろしながら引く。
声を聞くんだ...声を聞くんだ...

"おい、力みすぎだ。肩の力を落とせ。"
不意に聞こえた声の言う通りにし
て肩の力を落とすように意識して放つ。
いつもよりも真ん中に近い場所に当たる。

今のが...声...?
矢と弓のおかげだろうか、
これらと一緒にもっと目指せれると思うとワクワクしてきた。

いつぶりだろう。弓道にこんな熱心になれたのは...

語り部シルヴァ

9/22/2024, 9:30:18 PM