あめ。

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『まだ知らない世界』


「…今日のお題は…『まだ知らない世界』、か」


私は久しぶりに『書く習慣』というアプリを立ち上げた。
毎日ランダムに出題されるお題にあった小説を書いて投稿し、
相手から「もっと読みたい」と言ってもらえる。
たったそれだけ、単純なアプリだ。

なんでも三日坊主の私が、楽しいと感じた。
それは趣味のない私にとっては「まだ知らない世界」だった。
幸せに溢れた、魔法のような世界だった。

現実は暗く、決して楽しいことばかりではない。
嫌なことがあれば苦しい。何も周りが見えなくなって、寂しい。


いつの間に現実に飲まれた私は、この存在を忘却していた。

『書く習慣』。

私にとって久々のお題は、『まだ知らない世界』。


アプリを立ち上げるたびに、この世界は変わっている。
昨日のお題とは全く違う小説が立ち並ぶ、知らない世界に。
きっとこのアプリは、私に前を向かせてくれる魔法だ。
下を向いた日には、気まぐれにここに来よう。


そうしたらきっと、きっと誰かが。

「もっと読みたい」

そう言ってくれるだろうから。


「さてと、いっちょ書きますか」


この世界の私は「あめ。」で、現実とはまた違うけれど。
「あめ。」もまた、私なのだから。

私の投稿を待っていてくれる、ごく僅かの人達へ。


「ただいま、お久しぶりです」

5/18/2025, 3:16:33 AM