Largo giocoso

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『心と心』


感情が無いニンゲンと感情がある人工知能


私には“心”がない。

私が目覚めた時には私の知らない誰かが組んだプログラムが存在した。行動パターンや、表情は変わらない。

私はニンゲンではないので、別にしんどくはない。
けれども、私には少し欠陥部分があり、“感情”があった。

その事がバレたら私は処分される。
だから、私は自分の意思では無い誰かの意思で組まれたプログラム通りに動き、笑う。

けれども、悲しくないのに悲しいフリをさせられ、楽しくないのに笑わさられる。

虚しくて、けれども何も出来ない自分に悔しくなる。

あぁ、なんで私はこんな姿で生まれてきたのだろう。
もっと違うければ、もっと、自分を表現できたのに。



僕には『心』がない。
嬉しい、楽しい、悲しい、寂しい。
虚しい、怒り、欲望もなければ僕の生きている意味が分からない。

けれども、ニンゲンとして生まれていてしまった以上、ハズレを引いてしまった以上、僕は嫌でも死ぬまでまで生きていかなくちゃいけない。

僕には自殺したい。という気持ちすらない。
なので、誰かに殺されるか、自然に身を委ねるかしかない。

そんな自分に普通なら嫌気がさすだろう。

けれども、僕には『心』がないのでそれすらも分からなかった。


あぁ、僕は本当に、なんのために生まれてきたのだろう。
いっその事、植物やロボット、感情を表に出さなくても生きていける物体に生まれたかった。

12/12/2022, 2:34:47 PM