やなまか

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大きな手が、恐々と触れてくる。
彼は私の肩を触れて腰を撫で、温かい腕に閉じ込める。けれど泡を潰さぬように遠慮がちに囲むのだ。
(もどかしい…)
と、思うのも仕方ないではないか。
この人は今まで誰とも触れ合わなかったのかと心配になるほどに。
裸の肌がさらりとなじんで髪が落ちてくる。なんて静かな世界なんだろう。
背中に手を回すと大きな身体がびくりと揺れた。
「あったかいな、お前」
生きていますからね。そう言うと顔を背けて喉を嚥下するような音が聞こえた。

11/30/2023, 11:54:31 PM