一尾(いっぽ)in 仮住まい

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→センス・オブ・ワンダー
           (改稿 2024.8.13)

君のピアノ演奏は、私とは全然違う。
同じピアノを使っているとは思えない音色。
同じ楽譜を読んでいるとは思えない表現力。
私のはただのピアノ曲。
君の奏でる音楽は、変幻自在。

君の奏でる音楽に風景を観る。
例えば、光。それは木陰を作る。それは蝋燭の灯。
例えば、風。それは草を渡る。それは雲を引っ張る。

君の音楽に感情を揺さぶられる。
例えば、喜び。大切な人の笑顔。謳歌する人生。
例えば、切なさ。夕暮れの一瞬。愛する人の背中。

聴衆は君のピアノに自身を投影する。
例えば、思い出。放課後の教室。テーブルの花束。
例えば、希望。小さな命の誕生。夢を叶える力。

君と私、同じ教室で同じ日にレッスンを始めたことを、君は覚えているかな?
人にそれを話すとき、私は得意げに自慢話。
独りで思い出すとき、私は悔しさに歯噛みする。

それでもね、
私は君のピアノに心を鷲掴みにされてしまう。
もっと聴いていたい。
もっと心の琴線を乱してほしい。
狂おしいほど憧れる。

私は君の奏でる音楽の虜。

テーマ; 君の奏でる音楽

8/12/2024, 3:43:21 PM