—あの丘でまた—
『今夜は、六年ぶりにりゅう座流星群が流れるそうですよ』テレビの中から聞こえてきた。
『りゅう座流星群』という単語を聞いて、昔みんなで交わした約束を思い出した。
それは俺たちが小学六年生の時。
「次、りゅう座流星群が来る時も、またみんなで見ようよ」
そこにいた誰かがそう言った。
近くに、星がよく見える丘がある。幾つも流れてくる星々に俺たちは魅了された。だからその場の思い付きで言ったんだろう。
みんな覚えていないかもしれない。あの丘に誰も来ないかもしれない。
「ちょっと星見てくる」
それでも行ってみたくなった。
俺は、星が見えそうな夜の時間に家を出た。
俺は地元の大学に入学したから近いけれど、他のみんなはどうなんだろう。高校生になってからはほとんど連絡をとっていないので、みんなが今どうしているのかを知らない。
懐中電灯を照らして、丘を登る。すると、何人かの人影が見えた。
「みんなちゃんと集まってんな」
懐かしい姿は意外と見分けがつくものだった。
駆け足でみんなの元に駆け寄る。
あの約束は、ちゃんと生きていた。
お題:ささやかな約束
11/15/2025, 7:47:45 AM