この2023年で一番印象に残っていることは、小説を書き始めたこと。
そして、それが自分にとっての2023年でもある。
9月くらいだったか、短編を毎日書き始めた。
小説を本格的に書きたいと思い、始めの一歩ということで短編から始めた。
なんとなく小説家になりたいという漠然とした夢に対して、この瞬間はっきりと行動に移したのだ。
最初は我ながらひどい出来栄えだと思う。
けど、最近はなかなかいい感じにかけているのではと思う。
手前味噌だけど。
仕事は楽しくない、人づきあいは嫌という、ネガティブな感情から始めたものだが、やってみると結構楽しい。
みんなが創作活動に夢中になるはずだ、と勝手に納得したものだった。
小説を書いていると、とても充実しているのを感じる。
なるほど、夢をみることは大切だ。
夢と言えば、最近たくさんあるうちの夢の一つが叶ったな。
異世界に行くこと。
転生ではなく、転移だけど似たようなもの、っていったら怒られるか。
地味なチートだけど、もらったのでそこそこ嬉しい。
だけど年末年始はオタ活で忙しいし、小説も書きたいので、早く帰らなければいけない。
だからチートを駆使して、とっとと世界を救って……あれ?
なんで私は走馬灯みたいに今年を振り返っているのだろうか?
私はさっきまで何をしていた?
少しずつ頭が冴えてくる。
思い出した。
私はこの異世界に来てから世界を巡り、世界を脅かす悪と対峙していたのだ。
それら順番にチートで滅ぼたが、最後のボスにチートの対策を取られ、敗北したのだった。
目を開けると、見慣れた光景が目に入る。
ヒイキにしている宿屋の部屋だ。
横を見ると仲間が心配してこちらを見ていた。
「気分はどうだ?」
「最悪だよ」
仲間の気遣いに、素っ気なく答える。
「少し休むか?」
「大丈夫だ。チートですぐ回復できる」
「体はな……。心の方は回復しないだろう」
「安心しろ。あのラスボスが生意気にかけていた眼鏡を粉々にしてやりたくて、ウズウズしてるよ」
「なら大丈夫だな」
「ああ、あと対策も思いついた。
準備が出来たらすぐ行くぞ。
次は負けない」
私には元の世界に戻る理由がある。
早く戻って、人生を満喫する。
それが自分の中の最も大切な夢だ。
それを叶えるために、過去を振り返っている暇など私には無いのだ。
12/31/2023, 9:51:23 AM