夢見てる

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終わらせないで

「俺にはもう恋人なんか、ねぇ」ヘラヘラと笑いながらビールを煽るkdkrさんの声で体が震える。これは遠回しの彼なりの警告だ、彼に好意を寄せる私に対しての
グラスをテーブルに置きトイレに行くと友人に伝えkdkrさんを見ずに席を後にする、ふらふらと蹌踉めきながらトイレに向かう、薄暗いトイレで酷く歪んでる自分の顔を見て、卑屈な気持ちを抱きながら居酒屋の雑踏と共に嗚咽を出し涙をこぼす。薄暗い廊下で壁に寄りかかり呟く「メイクがとれちゃうな、」こんな時でさえkdkrさんの目を気にしてしまう自分が嫌になる、もう振られたも同然なのに。もうこのまま帰ってしまおうか、携帯を開き友人とのトーク画面に文字を打ち込むと後ろから1番聞きたくない人の声が聞こえた。
「具合悪くなったのか?」振り返ると、上目で心配そうに聞いてくる彼がいた。そんな彼に怒りが湧いてくる、あんなにも遠回しに振ってきたくせにどうして優しくしてくるのか。「何ともないです」あぁ可愛げもなく言ってしまった後悔してももう遅い、もういっそここで全て吐いてしまおうか、そう決めた開いた口はもう止まらない「あなたの酷い優しさで私の気持ちを終わらせないで下さい」なんて我儘なんだろうか、自分で言っておいて辟易する。気まずい沈黙が流れ、自分の醜さにまた涙が流れてきた、すると彼の優しい「ごめん」という声とともに少し節だった手が伸びてきてわたしの涙を優しく掬う。「辞めてください、好きになっちゃいます」彼に何回も伝えた好きという言葉、「まだ俺のこと好きなのか?」ちらりと彼の顔を見る、真っ赤になった顔に困ったように下げられた眉毛、への字の口を更に曲げている。くすりと笑いながら「当たり前です」と言うと、「俺はもうおっさんだよ」涙を掬うのをやめ、私の頭をぎこちなく撫でる。「おっさんでもkdkrさんだから好きなんです」「物好きだね」「今に始まった事じゃないです。」会話を重ねる毎にさっきの卑屈な気持ちが薄れていく。こっち向いてと彼から声がかかり「今酷い顔してるから恥ずかしいです」と口篭りながら呟くと、暗いから見えねぇよと少し楽しそうに言う彼が私の頬に手を当てて顔をあげさせた、「こんなおっさんでもいいなら、さっきあんなこと言っちゃたけどよ、もし夢主がいいなら」頭がクラクラしながら彼の言葉を聞いておもわず彼を抱きしめる「こんな、なんて私には関係ないです。」私の背中を彼の手がまたぎこちなく撫でるのを感じながら私は涙を流していた

kdkr

補足▶️俺にはもう恋人なんか、ねぇ。kdkrは夢主が自分のことを好きだと知ってる、その上での言葉。自分はもうおじさんなんだからもっといい人が夢主にはいるよ、と伝えたかった。夢主にはkdkrしかいないなんて知らないで

11/28/2021, 1:50:08 PM