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「あっ、おはよう。」
彼女に声をかけられる。僕はドギマギしながらも答える。できるだけ早口にならないように。
「お、おはよう。」
「あはは、そんなに緊張しなくてもいいのに。」
「そ、そうだね。」
ああまったく、なに彼女に気を遣わせてるんだ。本当に
僕は馬鹿だ。これ以上気を遣わせないように話を繋げなくては。
「き、今日はいい天気だね。あのえっと、毎日暑くて嫌になっちゃうね。」
「ねえ、」
「はっはい!」
「天気の話だけでいいの?」
「えっ?」
「本当は私に違う事を話したいんだよね? 大丈夫、ちゃんと聞くから安心して。」
その言葉は僕の臆病な心を引き摺り出してくる。
その通りだ。僕は天気の話なんてどうだっていい。
僕が本当に話したいことは。話したかったことは。
「僕は君のことを───」

『天気の話なんてどうだっていいんだ、僕が話したいことは』

5/31/2023, 11:32:24 AM