NoName

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ひとつの雫が落ちた
それを合図かのように 雨が降り始め
私のまわりは徐々に湿っていく

生憎傘は持ってきていなかった
私は雨に打たれながら考えた

蛙の鳴き声が聞こえ
蝉は木陰で、私はここだ、といわんばかりに鳴いている

あぁ、きっとそろそろ夏がくるのだろう
彼女の刻は未だ、夏のままだけれど

随分と小さくなり
そして冷たくなっている彼女にこういった

『誕生日おめでとう、やっと君の年齢に追いついたよ』

4/21/2024, 1:11:29 PM